「ドイツが生んだ最高級インクジェット用紙/ハーネミューレ紙」は色と質感の再現性が高く、その写真表現力を多くの方に知って頂くことを目的とした写真公募展です。
作品が更に高いグレードに仕上がり、体感された全ての方が、また選ぶ素材。写真プリントのクオリティーにおいて、中部地区でプロからアマチュアカメラマンまで幅広く支持をいただいている弊社の技術とハーネミューレ紙のコラボレーションを是非実感してください。厳選なる審査の結果、選出された受賞・入選作品作品展をセントラルアートギャラリーにて開催いたしました。
受賞・入選 作品
グランプリ [色相戯]
村岡 里梨 様
【受賞者コメント】
今回はこのような賞を頂けて本当に嬉しく思っております。ありがとうございます。
この作品は他の人に見せたときに賛否両論色々あった作品で「色編集しすぎじゃないのか」「写真って言えるのか」とか逆に「僕はこの作品好きだよ」って言ってもらったりとか。でも自分自身この作品が好きだったので「そんなに言われなくてはいけないのか」と悩んで確かめたくて応募した経緯があります。でもこうやってグランプリという形で自分の世界観が肯定されたような気がしてそれが嬉しかったし、思っていたよりも写真の表現の幅が広いなと実感することができましたし、それは自信にもつながったのではないかなと思います。今回は本当にありがとうございました。
【審査員より】
<吉田 宗義 様>
作者のセンスが光るおしゃれな作品です。やりすぎるとかえってマイナスになってしまう、デジタル処理(ソラリゼーション風?)も嫌味がありません。モデルの表情も素晴らしく、観る人の視線移動も計算された、完成度の高い作品です。
<川嶋 なぎさ 様>
第一印象から、目に焼き付いた作品でした。シルクスクリーンで刷られたポップアートを思わせるようなトーン。無作為なようでありながら、バランスのとれた人物の配置や動き。そして色使い。見せ方の目新しさだけにとらわれることなく、モデルの心情を何かしら想像させる作品に仕上がっていると感じました。
<鈴木 敦詞 様>
コラージュのような人の配置、赤色を全面に出した画面構成。シンプルな中にネオジャパネスクを思わせる衣装とメイク。
画のリズムと節度あるソラリゼーションのような写真加工に作者のセンスの良さを感じる。
<村上 心 様>
音がなく文字がなく動きがない芸術としての写真は、どこにアートとしての価値を主張し続けることができるのか。例えば、絵画との闘いと融合は、写真の存在意義を高めるのか。作者の問い掛けが興味深い。この作者の複数の作品をなるべく多く観てみたいと思わせる秀作である。
準グランプリ [海月]
曹原 様
【受賞者コメント】
今回ははじめてコンテストに参加して賞を獲りました。ありがとうございます。連絡が来てびっくりしました。
きっかけは少し恥ずかしいですが、今4年生で来年大学院に行くつもりで、願書の下に受賞歴が書くものがなく探していたらこのコンテストを見つけ、試しに出してみたらまさか準グランプリを貰いました。昨日願書を出しました。助かりました(笑)
作品についてですが元々シリーズになっていてその中の自信作を出しました。本当は普通の水族館で撮った写真なんですけど、モノクロ化してレタッチの色を一つずつ退けました。アジア人の美観の水墨画をイメージしたシリーズです。
皆さんの作品をみて、私の作品より強く、素晴らしいものばかりだと思いました。ありがとうございます。
【審査員より】
<吉田 宗義 様>
モノクロで表現することにより、また違ったクラゲの魅力が表現されていると思います。白黒反転をしているのでしょうか?この撮り方でもっと色々なクラゲの作品が観てみたいです。
<川嶋 なぎさ 様>
まるで墨の濃淡だけで描いた水墨画のような表現が魅力的です。また、モノトーンの中に、繊細なディテールなど、実はとてもたくさんの情報が含まれており、シンプルだからこそのインパクトを感じる作品に仕上がっていると思います。
<鈴木 敦詞 様>
海月の不可思議な生体がモノクロームの美しい階調で丁寧に表現されている。ハーフトーンの柔らかな表現が写真の魅力をより際立たせる。ハーネミューレ紙のマチェールを引き出す美しい作品。
<村上 心 様>
対象を発見し、観察し、描写する、という写真の本質を主張している。作者の繊細な感性が、丁寧に四角い画面に切り取られている。実在の大きさは、無限大の大きさへと昇華する。心が澄まされる作品である。
審査員特別賞 [フェイスチェンジ]
宗吉 洋介 様
【受賞者コメント】
皆さんの素晴らしい作品の中で受賞したことは本当に嬉しく思っております。
鈴鹿市から来ました、宗吉洋介といいます。
前々回の審査員の秦先生に導かれて初回コンテストに出しましたが、見事に落選しました。去年は入選、今年は運良く入賞しました。写真の素晴らしさ、写真と人間関係の素晴らしさ、人間の素晴らしさを秦先生に教えて貰いました。この作品は仕事先に納品に行ったときに倉庫に美容師さんのウィッグが山積みにしてあったんです。それをみて「あ、これはなんか撮れそうだな」と頼み込んで袋を一つもらいました。そしてしばらくどうしたらいいのかなと思っていたら写真の集まりの飲み会があって女の子があとから来たんですよ。「あ、この子だ!」と思って年も顧みずナンパしました(笑)
そしてなんとか撮らせて貰えて、その子が不思議ちゃんで。ものすごくオーラがある子で、写真と僕のイメージとピッタリで円頓寺と常滑と二回撮影したうちの円頓寺での作品です。僕はセントラルフォコトンテスト、またセントラル写真部に入って年々この年で写真に育てられたという感じを受けて本当に嬉しく思っています。セントラル画材さんは本当に素晴らしい会社だと思っています。どうもありがとうございました。
【審査員より】
<吉田 宗義 様>
一見シュールな作品ですが、モデルの赤い衣装と気取らないポーズが、暗くならず、お茶目な雰囲気さえ感じます。人は今までチェンジした顔がどれだけあるのだろう。
<川嶋 なぎさ 様>
モデルの色使いやライティングなどの演出によって程よくリアリティが消されており、暗めのトーンでありながらも重々しくなりすぎていなことが、見る人への共感性に繋がっていると思います。テーマを重視し、「どう伝えるか」に挑戦した作品だと感じました。
<鈴木 敦詞 様>
一見奇抜な表現に見えるが、現代社会を風刺的に描いた作品。ペルソナを被って生きる寂しさ、また生き辛さを感じる。撮影場所の選定やマネキンの演出など、作者の作り込んだ仮想世界に引き込まれる。
<村上 心 様>
心象を具現化する作業は、思い切りと飛躍の結晶である。その作業にとって、撮影舞台の選定は大きな意味を持つであろう。中心となる人物と舞台の絶妙のバランスが、観る者へのメッセージを強く伝えてくる。
ジェットグラフ賞 [冬の子]
篠田 真理子 様
【受賞者コメント】
本日は素晴らしい写真展に展示していただき本当にありがとうございました。日頃お世話になっているセントラルファクトリー様、やりたい事をさせてもらっている夫や、写真を初めて25年見守ってくれてくださった夫馬勲さんに深く感謝しております。
今回の写真は30年通い続けている美瑛町で撮りました。七竃と冬の雪景色です。
写真を撮るにあたって一番大切にしている事は、心に響いた光景を惜しみない感情をもってシャッターを切るということです。被写体の向こう側に見えてくるものを撮りたいと常々思っています。今回の雪と七竃の写真に「冬の子」とタイトルをつけたように、割と擬人化して物事を捉えることが多く、この七竃は私のなかでは冬の子の声が聞こえてきました。「やっと雪が降ってきたね」と言う風に語りかけてくれる様な感じでシャッターを切りました。ただ単に風景とか綺麗だなと思った写真を撮るだけではやっぱり深みがないかと思うんですけど、この七竃を見たときには、いずれ鳥達の餌になってしまい、そして鳥達が飛び立ってまた鳥達も七竃も姿を変えて命を繋いでいくという自然の輪廻を強く感じました。自分が生死を分けるような病気をして、被写体を通して輪廻をいうものをより感じる様になりました。
今回素晴らしい作品の中から運良く選ばれて本当に嬉しいんですけど、実はグランプリも欲しかったと思ってまして、夢は東京の個展とその抱き合わせで名古屋でも個展を開きたいと思っていました。諦めずに頑張りたいと思います。またよろしくお願いします。
【審査員より】
<吉田 宗義 様>
美しい作品です。この様な作品は絶妙な露出とホワイトバランスが大切。作者の写真と向き合う、純粋な心がこの作品を撮らせたのですね。
<川嶋 なぎさ 様>
こんこんと降る雪。じっと耐えているような小さな可憐な赤い実。この一枚から、わずかに聞こえたであろう雪の降る音まで聞こえてきます。写真は、ただ風景の一部を切り取るだけでなく、音、匂い、温度など、そこで得たさまざまな感覚を残すことができるということを教えてくれる作品だと思います。
<鈴木 敦詞 様>
風景の中に佇むささやかな存在をそっと静かに見つめる。寒い冬の中、赤い小さな味を幼子らに見立てる物語は微笑ましい。自然界の摂理から、人の機微を察する作者の眼差しに優しさを感じる。
<村上 心 様>
丁寧に、とても丁寧に、瞬間を切り取った、という作者の思いの結実が、作品への多様な印象を与えることに成功している。結果、味わう時間が経つにつれて、写真の印象とメッセージも変化してゆくのである。
入選
三田村 武 様 ・ 加藤 禎之 様 ・ 福井 幸生 様
伊藤 実穂 様 ・ 向出 駿 様 ・ 三輪 昇 様
近井 直行 様 ・ 近藤 久美子 様 ・ 西田 五徳 様
森 英夫 様 ・ 玉置 博子 様 ・ 清水 匡 様
山本 究 様 ・ 山本 桂子 様 ・ 園田 翼 様
髙木 香里 様 ・ 吉田 悦子 様 ・ 酒月 皓 様
真光 一雅 様 ・ 猪島 伸彦 様 ・ 加藤 昭夫 様
廣江 修 様 ・ 朝木 健次郎 様 ・ ユン ユミコ 様
PETER BAKELAAR 様 ・ 後藤 洋輔 様 ・ 三浦 雄一 様
松田 マキコ 様 ・ 坂本 麻美 様 ・ 名嘉 元希 様
【総評】
<吉田 宗義 様>
今回の審査の初見で感じたことは、応募されたプリントが、かなり美しくなったということです。主催者に聞いてみると、ハーネミューレを使って応募された作品が相当数あったとの事。応募される方々もプリントの重要性を知っての事でしょう。残念ながら今回選に漏れた作品にも、写真を撮る楽しさや、苦労が見える作品も多くあり、次回はきっと入賞、入選出来ると思います。最後になりましたが、写真文化を広げるため、長きに渡りこのコンテストを主催されている、セントラル画材様に感謝いたします。ありがとうございました。
<川嶋 なぎさ 様>
入賞、入選の皆様、おめでとうございます。
今回の応募作品も、過去の作品に負けず劣らずクオリティーの高い作品ばかりでした。撮影技術だけでなくプリント出力までの仕上げにおいても意識を高く持ち、完成度が上がったことを強く感じました。
しかしその一方、今回は例年より悩んだ審査でもありました。それは全体のレベルが高いがゆえに技術面での甲乙がつけがたく、その中で特に秀でているものを見極めにくい、というのが大きな理由です。では、印象に残る作品とは何か、心に響く作品とは何か。次のステップとして各々が考え挑んだ作品に、今後もたくさん出会えることを楽しみにしています。
<鈴木 敦詞 様>
全体的に質の高い作品が多く、特に単写真の持つストレートな力強さ、幾つものレイヤーを重ねることで映像に拡がりと奥域を与えることに成功している作品が印象的だった。
キレのある表現であったり、眼差しの優しさであったり、いかに情緒を喚起することができるか。写真の持つエネルギーから、作者の声、息づかいのような身体の揺らぎが繊細な感覚で表現されている作品に惹かれる。ハーネミューレの持つ紙の質感に相応しい写真力を持った作品を選ばせていただいた。
<村上 心 様>
テーマパークと世界自然遺産と世界文化遺産とスラムを、一瞬の内に次々と渡り歩いているような素晴らしい審査時間でした。高いレベルの実に多様な作品が揃っていたと思います。その中でも、作者の意志とメッセージがアートとして明確に伝わる作品、読み取り側の感情と思考を掻き立てる作品、それらの為の勇気ある試行が行なわれている作品が、特に優秀作として選定されたものと考えています。
CENTRAL Photo Contest 2019にご出品いただきました皆様へ
全国より多くの素晴らしい作品をこのコンテストにご出品いただきまして
スタッフ一同心よりお礼申し上げます。